俺様御曹司に飼われました
「景教であんたの一つ下だった進藤っていえばわかりますかね?」



悪魔の言葉にみるみる目が見開いていく音哉。



「初めて顔みたわ」


「俺は何度か見かけてますよ?」



ニヤリと笑う悪魔は何度もみてるけど、音哉に向ける笑顔は少し違う気がする。



「お前、社長の息子と付き合ってんならもっとはやく言えよ」



ぽんっとあたしの肩を叩いてあたしに背を向ける。



「よーし。虫退治完了。ほらいくぞ」



音哉が角を曲がるまで見てからあたしの腕を掴んで歩きだす。



「え?」


「もうお前に近づいてはこないだろうな」


「……なんで?」



音哉は数少ないこの会社での理解者だ。
挫けそうなときも何度だって助けてもらった。



「まだわからない?俺は君のカレシだよね?」


「はぁ……」



わかるもわからないもない。
あたしはこの人を自分の彼氏とは到底思えない。



「他の男には近づかせないよ」



ぼそっと言った彼はなんだかとても冷たい目をしていた気がした。

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