俺様御曹司に飼われました
「受かってくれてないかな……心海」



幸いにも、あの日親父には心海の顔も見られてないし名前も言っていない。
俺が素直に従ったからなにもする必要がなかったからと親父も何も調べなかったようだ。



「まずは受かってくれ……」



受かってくれれば、心海は親父の会社に入る。
そうしたら、俺と心海の出会いも作れる。

──俺ともう1度。
出会ってくれればいいんだ。

本当なら、出会わないのがいちばん波風立てなくていいのだろう。
でも、そんなことはできない。

だって、俺は欲しいものは必ず手に入れてきたから。
もう一度、手に入れる。

手放した後悔をなくすくらい。
今度はたくさん愛してやりたい。

まぁ、性格上素直になるのはなかなか難しいけど。
でも、心海の性格も変わってないと思うから。
いつかはまた、俺のことを理解してくれるはずだと思ってる。


あの時の後悔を、すべてのエネルギーにかえて。
俺は、心海が親父の会社に就職することを願った。

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