俺様御曹司に飼われました
「俺の部屋あんじゃん」


「社員寮の最上階のね」



俺はいまは実家を出て一人暮らしをしてる。
といっても親父に与えられたタワーマンションの最上階で。



「そこ、こいつの部屋に当ててくんね?」


「は?あんたは?」



怪訝な顔をしてやっとパソコンから目を離す。



「俺もそこに住む」


「は!?何言ってるの!?」


「ひとりで住むには広いからさ」



最上階だけ、ワンフロアぜんぶがつながっていて、俺の家はひとりで住むにはありえない広さだった。



「広いからって……この子女の子じゃない」



信じられないというような顔で俺を見る。



「姉ちゃん覚えてる?俺が厚岸で惚れた女」


「忘れるわけないでしょ。あれは大騒ぎだったんだから」


「……こいつなんだ。だから本当お願い!」



姉ちゃんに頭を下げる。

ありえないお願いだってわかってる。
でも、同期である恩田先輩より近くにいくなんてこんなことくらいしかできない。


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