俺様御曹司に飼われました
「暁」


「あ、教授」



唯一ここにいる日本人教授。



「試験だったんだろ?どう?」


「わかんないです。でも、思ったよりできた気はします」


「ならいけてるんじゃないか?お疲れ」



ぽんっと俺の肩を叩いて、手に缶を乗せる。



「ありがとうございます」



渡された缶コーヒーを開けて口をつける。



「でも、よくこんな短期間でここまで頑張ったよ」


「こんななにかに打ち込んだのは生まれて初めてかもしれません」



それもこれも全部心海と一緒にいるため。

日本からこっちへやってきて、 仕送りは毎月たったの10万円。
だから安い家賃のとこを探して住んだ。



「もし受からなかったとしてもここまでの頑張りは認めてくれるんじゃないか?進藤も」


教授と親父は大学の同級生らしく、俺がここに入れたのもふたりが友達だったからだ。



「親父なら受かるまで認めませんよ」


「ははっ!たしかに進藤ならそうか」


「それに俺も受かるまで帰るつもりはありません」



情けで帰ってこいと言われるわけではなく、自分の力で帰りたい。

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