俺様御曹司に飼われました
『あ、もしもし?』


「……え?」


心海にかけたはずの電話。
出た声が違って、画面を確認しても表示されるのは心海の名前。



『あー……っと、なにから言えばいんだ。これ』


「心海になにかありました?恩田先輩」



声でわかった。
電話に出たのは先輩だって。



『なにかっていうか……話したくないって言ってる』


「……は?」



なんだよ、それ。
俺、そんなこと言われるために四ヶ月頑張ってきたわけじゃねぇよ。



『ってか、あの時心海を傷つけたのあんただったんだな』


「……っ、なんでそれ」



こんなこと知ってるの、草太と姉ちゃんと親父だけなのに。



『別人のふりして心海に近づいたってわけ?』


「ふりなんてしてない。俺は俺として……」


『言ったよな?なにもするなって』


「……っ」



あの日、先輩に言われた言葉。
たしかにそう言われた。

でも、俺にはそんなこと無理だった。


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