俺様御曹司に飼われました
「ねぇ……ど……どう……」



おもむろに手にしたスマホで電話をかけるけど、言葉になんかならない。



『心海?どうした?』


「わかん……な」


『おい、どうしたんだよ』



うまく話せないあたしに音哉が電話の向こうで焦っていることだけはわかる。



「おと……や……どう……しよ」


『お前、いま実家か?』


「う、ん……」


『行くから待ってろ!』



そのまま電話は切れたみたいで画面には〝通話終了〟と表示されている。



「あれ……音哉って……」



同じ地元だとは話したことがあったけど、実家の場所なんて言っていたかな。

でも、何もきかれなかったから忘れているだけかもしれない。


いま、ひとりでいることが怖かった。
さっき目にした写真の画像が頭にこびりついて離れない。

そんなはずないのに。

どうして、ここにその写真があるのかわからなかった。

たしかに見覚えがあった。
だって、悪魔のスマホの待ち受けの画像と同じだったから。

悪魔が大切にしている女性とのツーショット。

……どうして、これがここに。


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