俺様御曹司に飼われました
「ごめん、忘れてた」


「いやどう見てもここ玄関だし」



口角あげた表情をしている暁に、これはあたしがすきな俺様悪魔だなと感じる。

いつの間にか、あたしが好きなのは俺様な暁になっていた。
というか、初めからか。

高校生の頃からすでにこの俺様に惹かれてたんだから。



「解決した?」



部屋に入るとあたしの椅子に座ってる音哉。



「あ……」



音哉がいることすっかり忘れてた。



「その顔、俺がいること忘れてただろ?」



ポンっと持っていた小さな冊子であたしの頭を叩く。



「あ、それ……」


「俺と心海の思い出が詰まったアルバム」


「どこに!?」


いままで1度だってこの部屋で見たことない。
見つけていたら、思い出してたはずなのに。



「俺が持ってた。いつも持ち歩いてた」


「いつも?」


「ん。俺のなんかお守りみたくなってんだ。だから、これからもこれは俺が持ってるから」



そのインデックスで分割された写真が入った小さいアルバム。
すごくミニサイズだから、音哉はシャツの胸ポケットに入れる。

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