俺様御曹司に飼われました
「……暁」


「いつか思い出して……それで離れていくのが怖くて過去の心海しか好きにならないようにしてたつもりだった。いまの心海を愛したら別れる時辛くなるから。でも、結局はいまの心海を好きになってた」



恥ずかしいのか、早口でつらつらと言葉を述べていく。



「だから、はじめの方決して気持ちをちゃんと言ってくれなかったんだね」


「あぁ。俺のものって言うだけで精一杯だったんだよ」



いつも強気だった悪魔な暁。
それは不安からくる強引さだったんだね。



「暁も普通の人なんだね」


「もう、先輩になんか先越されないから」


「先……?」



暁が音哉のこと先輩って呼んでたこともいま、初めて知った。



「いつだって先に出会うのは先輩だったから。今回も同期入社だったし……それ知った時マジて焦ったんだよ」


「そうだったんだ……」


そういえば、入社式であたしを見た音哉がさごくビックリした顔をしていたなと思い出す。

〝昔付き合ってた人に似ていたから〟なんて言ってたよね。

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