俺様御曹司に飼われました
「なに?」


「暁、あの人のこと好きだったんでしょ?」


「は?やめろよ気持ち悪い」



あたしの言葉に心底嫌そうな顔をする。



「だったら、あたしにまで冷たい瞳しないでよ……」



きっと、暁の初恋だったんだと思う。
でも、暁が違うというならあたしはそれを認めてあげることしかできない。



「あっ……ごめ」



暁がハッと我に返ったような顔になる。



「あたしそんなに頼りない?」


「え?」


「まだあたしじゃ、暁のすべて抱えさせてもらえない?」



暁は小さい頃から御曹司として、たくさん期待されてきたんだと思う。
重圧、責任いろんなものを抱えてきたんだと思う。

でも、暁だってまだ大学を卒業したてのひとりの男の子。
あたしには何もわからないけど、少しくらい頼ってほしいと思う。



「そんなことねぇよ……ただ、心海にはカッコ悪ぃとこ見られたくねぇんだよ」


「見せてよ!カッコイイとこもカッコ悪いとこもあたしは一緒に共有したいんだよ!」



あたしの言葉に暁の目が見開いていく。


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