俺様御曹司に飼われました
「お前には適わねぇな」


「暁……」


「たしかに、あいつのことすきだったよ。中学んとき、家庭教師としてうちに来たあいつに惚れた。まぁ、そん時にはもう親父の愛人だったけどな……俺はまんまと遊ばれたわけだ」



可笑しそうに笑いながら話す。



「笑わなくていいんだよ……辛かったくせに」



暁をぎゅっと抱きしめてみる。



「今は心海だけだよ。あいつのことなんて嫌悪感しかねぇ」


「ん。分かってるよ。でも、辛かった気持ちがなかなか消えないのは分かるから」


「お前のこと辛くさせたの俺じゃん」


「まぁ、ね。でもいまは暁といられて幸せだから」



あたしの言葉にはぁーーーっと深いため息をつく。



「なんで、ため息?」


「いや、もう言いたくなった」


「へ?何を?」



突然、あたしの肩を掴んで顔をのぞき込む。



「親父に許しを得てからにしようと思ったけど、我慢できない」


「ん?許し?我慢……?」



なんのことかわからなくて首を傾げる。

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