俺様御曹司に飼われました
「心海、さっき親父が言ったように本当に気負わなくていいからな」


「うん……」



暁の実家からの帰り道。
まだ、不安な気持ちが残るあたしを優しく暁が見つめる。



「いままで通りでいいんだよ。住む家もいままでのところでいい。いずれ、俺が継ぐときはあそこに住むことにはなるんだけどいいかな?」



暁の言葉にこくんと頷く。



「暁にずっとついていく覚悟はあるよ。でも、ちゃんとできるかは不安」


「普通にしてればいいから。普通にご飯作って、子供ができたら子供の面倒をみて……本当に普通の家庭でいいんだ」


「……うん」



暁はきっと、普通の家族が欲しいんだと思う。
お母さんができなかったことを、暁がやりたいんだと思う。

あたしは暁がそう望むなら一緒にそう歩んでいきたい。



「これで正真正銘俺が飼ったことになるな」


「まだ続くんだそれ」



おかしくなって笑ってしまう。



「一生だよ。一生俺が飼ってんだよ」


「わかってる」



あたしは暁に飼われて、暁を好きになって。
そして、いま結婚するんだ。

あの瞬間からずっと、今の今も。
これから先もずっと俺様御曹司に飼われてる。


-Fin-
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