俺様御曹司に飼われました
「お前、どこ行きたいとかあるか?」



着替えて、リビングに行ったあたしにソファーでくつろいでいた悪魔がきいてくる。



「いや、別にない……」



今日どこか行こうだなんて思ってなかったし。
家でゆっくり寝ていたかったのを邪魔されたから。
できれば、デートならお家デートにしてほしいくらいだ。



「じゃあ、俺が決めるな」



あたしの願いなんか知らない悪魔は爽やかに笑って、テーブルの上からキーケースを取って立ち上がる。



「行くぞ」



その動作をボーッと見ていたあたしの腕を掴む。



「あ、うん……」



やっぱり、動きがどれもかっこよくて。
掴まれた腕が熱い。



「今日の格好、可愛いじゃん」



横にいるあたしを優しい瞳で見つめる。

とくんと胸が高鳴るのを感じる。

なんでだろう。
好きなんかじゃないのに。
悪魔なのに。

格好いいからなんだろうか。



「可愛い格好しないと釣り合わないかなって……」


これは本音だ。
悪魔の隣を歩くのにふさわしい服なんてこれぐらいしかなかった。

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