俺様御曹司に飼われました
「いや、別に」


「まぁいいか。乗れよ」



気づけば、悪魔が助手席のドアを開けてあたしの背中を押していた。



「どこいくの?」


「映画」


「映画!?」



なんか普通のカップルぽいなんて思う。



「なんだ、映画嫌いか?」


「いや、そうじゃなくて……カップルぽいことするなーって思って」


「はぁ?」


「いや、別にそんなんじゃないのはわかってる!」



眉をひそめる悪魔に慌ててそう否定する。



「ちげーよ。なんでそうなんだよ」


「え?」


「お前は俺の彼女つってんだろ。いつになったら覚えんだよ、このバカ」


「一瞬にしてすごい言われよう……」



本当に悪魔の彼女だっていうような行動をしたらしたで笑われそうで。
なかなかその事実を認められない。

悪魔に好きな人がいるって事実も影響してるんだと思う。



「シートベルトしろよ」


「うん、大丈夫」



あたしのシートベルトを確認して、車のハンドルを握る。

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