俺様御曹司に飼われました
「どの映画見るか決めてないから、ここで見たいの探しとけよ」



悪魔のスマホをあたしに渡す。



「わかった……」



渡されたスマホに表示された、上映案内。
あたしに見せようと、検索をしといてくれたことに嬉しさを感じる。

この悪魔は悪魔なくせに、やることがスマートなのだ。
スマートに優しさを見せてくるから、自分が好かれていると勘違いをしそうになってしまう。

でも、あの日ラーメン屋で聞かされた〝好きな人〟の話が頭から離れないんだ。



「進藤さんってモテるでしょうね」


「は?つーか、なんで苗字よ……」


「そういえば、名前を呼んだの初めてですね」



あの部屋で一緒に暮らして、というか悪魔に飼われてから気づけば1ヵ月くらい経とうとしていた。

でも、これまでに名前で呼ぶことがなかった。



「お前さ、あの俺の大学の先輩のことはなんて呼んでるんだっけ?」


「え?音哉のこと?」



共通の知り合いぽいのなんて、音哉しかいないから彼の顔が思い浮かぶ。

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