俺様御曹司に飼われました
「……っ」



ホーム画面を見られたくなかったんだと思う。

あたしの目にはちらっと見えてしまったから。
暁さんと女の子とのツーショットが。


──好きな人。
ラーメン屋での言葉がまた頭の中を駆け巡る。



「どうして、暁さんはあたしなんですか……？」


「え？」


「だってたまたま部屋が一緒になっただけなのに、どうして……？」



その答えはきっと聞けないだろう。



「一目惚れ……みたいなもんだよ」


「……そうですか」



きっと、真実ではない。

だって、スマホの中で笑ってた暁さんの顔は見たこともないほどの笑顔だった。

そして、隣の女の子も笑顔だった。

隣の女の子をみて、一瞬自分かと思った。
でも、こんな写真撮ったことないし自分ではないことはたしかだった。

ホーム画面を見てハッキリしたんだ。
この人はあたしなんか好きじゃないって。


──その彼女に似てるあたしを飼っただけ
そんな事どうだっていいはずなのに、あたし胸は苦しかった。

< 38 / 234 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop