俺様御曹司に飼われました
「悪魔、マカロン好きって言ってたよね……」



悪魔に2つあげよう。
残りのひとつはあたし。



「喜んでくれたらいいな」



悪魔の笑顔を想像すると、なんだか頬が緩む。

悪魔は悪魔に変わりないんだけど、やっぱり整った顔をしてるから。
彼の笑顔は惹き付けられるものがある。

少しは喜ばせてみたいな。
普段、いろいろしてもらってばかりだし。
たまにはあたしが喜ばせるのもありだよね。

こんなそのへんのケーキ屋さんのマカロンなんて、悪魔の舌には肥えてるかもしれない。
でも、それでも喜んでくれると思うんだ。



「ふふっ」



悪魔の喜んだ顔を頭に思い浮かべながら、エレベーターに乗って最上階のボタンを推す。



「慣れたもんだなぁ……」



このエレベーターで最上階に行くことも、帰ったら悪魔がいることも。
家族以外の人と暮らすなんて初めてだったから、最初は戸惑ったけど。

いまとなってはそれが当たり前になっているんだから。

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