俺様御曹司に飼われました
「……?」



玄関を開けると、あたしのものではない靴がひとつ。
明らかに女物だ。



「……誰か来てる?」



もしも、本当の好きなひとだったりしたら……。
そんなことが頭をよぎって、足がすくむ。

でも、ただの友達かもしれないし。
部屋にいくには、リビングに行かないとならない。
リビングに悪魔がいるのかどうかもしらないけど。



「よしっ……」



意を決して、やたら長い廊下を歩いてリビングへと向かう。



「……っ」



リビングのドアが少しだけ開いていた。

見えて来た光景にドアにかけようとしていた手が止まる。


出ていかなきゃ……。
真っ白になる頭を感じながら、動悸が激しくなるのを感じながら。

それでも冷静に考えて。
物音を出さないように歩いてもう1度靴を履く。



「……キスしてた」



部屋から出て、脳裏に浮かんでくるのはさっきの映像。

……あれが好きな人?

女の人は頭だけしか見えなかったから。
というのも悪魔の顔もよく見えてないけど。

でも、もうあそこにはいられない。

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