俺様御曹司に飼われました
「……音哉」


『心海?』



咄嗟にスマホを操作して電話をしたのは音哉。



「家、行ってもいい?」


『どした?まぁ、来てから聞くわ。もう家いるから』


「……ありがとう」



音哉との電話を切って、再び歩き出す。

もしかしたらもうこのマンションに戻ることはないのかもしれない。

新しく家探して、荷物は悪魔に送ってもらおう。



「やっぱり、騙されてあげるんじゃなかった……」



あのスマホの待ち受けをみた段階でやめておけばよかったんだ。
そうしたら、こんな気持ち……。

……あれ。
どんな気持ちだろう。

あたしは悪魔のことは悪魔としか思っていないのに。

いつの間に、こんなに大きくなっていたんだろう。

毎朝、起きたら悪魔がいて。
毎日、帰ってきたら悪魔がいて。

毎週末、休みの日はデートしてた。

最初はゆっくりしていたいからデートなんか家でいいと思っていたのに、いつの間にか楽しみにしてる自分がいた。

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