俺様御曹司に飼われました
「いいのかよ、このままで」


「また元に戻っても惨めなだけだよ。あの人は嘘を突き通し続けるよ」



いままでだってそうだ。
あたしのことを好きとか愛してるとか言いながら。
あたしの体を抱きながら。
悪夢は別の人のことを考えていたんだから。



「心海がいいならそれでいいけどさ。しばらくここにいる?」


「……いいの?」


「まぁ、残念ながら俺には彼女いないのでね。気の済むまでいたらいいよ」


「……ありがとう」



音哉がいて本当に助かった。
いなかったらすぐにでも家を探したりしなきゃならなかったし。



「手、出さないから安心しな」



ポンっとあたしの頭を撫でる。



「……もうっ」


「出して欲しいなら話は別だけど」


「そんなわけないでしょ!」



いままでは別に音哉との体の関係だってなんとも思っていなかった。

でも、悪魔の虜になってる自分がいるんだ。
悔しいけど、悪魔しかもういらない。

でも、あたしはもう悪魔の手にはのらない。

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