俺様御曹司に飼われました
「ほんとに?」


「え?」


「俺から離れるの?」



寂しそうな顔に変化していく。

どうして、そんな目であたしを見るのだろうか。
この人は自分の手元に置いておきたくて仕方がないんだろうか。



「離れるの!離れたいの!」


「……そうかよ」


「ごめんなさい」



本当は離れたくなんかないのに。
好きだと気づいたのに。

気づいたときにはもう、遅かった。



「いや、最初から俺のワガママだったんだ」


「……?でも、あそこにおいてもらってたのはあたしだから」


「お前はほんと素直だよな」



寂しそうな顔のまま笑って、あたしの頭を撫でる。



「……素直?」


「俺はお前が欲しかったからあそこに住ませただけなのに」



そのまま腕を引っ張られて、腕のなかにすっぽりと入る。



「暁さん……?」


「俺は諦めないよ」


「……え?」



あたしのことを好きじゃないはずなのに。
〝諦めない〟なんて言葉が不思議で仕方ない。

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