俺様御曹司に飼われました
「俺、手に入れたいものは逃さねぇから」


「……っ、自分勝手!」



〝手に入れたい〟なんて言葉に騙されちゃダメなのに。
どんどん絆されてしまいそうになる。



「昔から手に入らないものなんてなかった」


「……お金持ちめ」


「金で買えないもの。女とかも欲しければ全部手に入った」



少し、震える声で悪魔はそう話す。



「自慢ですか……」


「いや、手にはいらないものはお前が初めてだから」


「なんで?好きでも無いくせに……」



他に好きな人がいるくせに。
あたしはその人の代わりなのに。



「好きじゃないなんて言ったか?」


「好きとも言ってない」



思えば、悪魔に愛のセリフを言われたことなんてない。



「俺の態度でわかるだろ」


「わからない!言葉がないとなにも伝わらない!でも、もういい!」



いま、言われたら決心が鈍ると思い悪魔の体を思いっきり突き飛ばす。

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