俺様御曹司に飼われました
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「なんだよ、好きなやつって……」



前の日まで普通だった心海の発言が本当に信じられなくて、これからも一緒に入れると思ってた自分がバカみたいで笑いがこみ上げる。



「……ほんといつもスルッと俺の手からいなくなるよな。あいつは」



自分の手の平を見つめる。

あの日、あの時。
あいつの手を離した俺。

あの時離さなければと何度も考えた。

あいつは俺を恨んでるのかもしれない。
でも、あの時は取り返せない。

だからいまこうして、あの時の罪滅ぼしを俺はしてるのに。
またいなくなってしまう。



「はぁー、取り戻したい」



こみあげてくる、あいつへの想い。



「あの場所へ行こうかな」



あいつと初めて会ったあの場所へ……──
俺とあいつの原点。
俺があいつを好きになった場所。

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