俺様御曹司に飼われました
「あぁ……」



納得したような顔になる。



「あたしにはくれたことのない優しさだった」


「そりゃそうだろ。あれ演技だもん」


「……演技?」



なにが演技だと言うのだろうか。
なぜかゴクリと喉が鳴った。



「俺の本性は普段、心海が見てるほう」


「え?」


「俺は自分が認めた人間にしか本性は見せないよ。それでもまだ疑う?」


「……っ」



悪魔がなぜかすごく優しい顔をしてて。
言葉がでなかった。



「なぁ、心海」


「ん?」


「ほかの女にとられたくなかったら、ちゃんと捕まえておけよ。とられないように」


「……とられたく、ない」



それは本音だった。
悪魔の隣にいるのはあたしがいい。



「じゃあ、捕まえておけよ。わかった?」


「……うん」


「いい子」



悪魔があたしの頭を撫でて、その後顔が近づいてくる。

きゅっと目を瞑ると、重なる唇。

偉そうな命令なのに。
どうしてか、従いたくなる。

だって、あたしはこの人に飼われてるから。
だって、あたしはこの人がすきだから。


今日も、悪魔の中に溺れていく。

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