俺様御曹司に飼われました
「う、緊張してきた」



合コン会場の居酒屋について、数分。
ついた矢先、あたしをみてめっちゃ不機嫌な顔になったのを見て一気に気持ちが萎む。



「なに言ってるの!」


「あれー?朱莉ちゃんの友達!めっちゃ暁の高校の時の彼女に似てる!!!!」



あたしのことを見た瞬間、悪魔に少し似た感じの男の人がそう叫んで駆け寄ってきた。



「……っ」


「おまっ、ふざけんな……っと」



本性が出てしまったことに焦りをみせて自分の口を手で塞ぐ。



「いまの王子なんからしくなかったね。裏の顔とか素敵ー」



朱莉の友達だろう。
悪魔を見て頬を赤くしてる。

社内の人なのだろうか。
あたしと悪魔のことをしってるのは同じフロアで働く人たちだけ。

社内中の噂になってないことだけが救いだった。
だから、朱莉も何も知らない。



「元カノに似てることだし、俺この子の隣でいいよね」



ニッコリとみんなに笑ってあたしの隣に座る。



「ちょっ……」


「いいから黙れ」



こそっとあたしにだけ聞こえる声で、いつもの悪魔。
2人だけの秘密のようで、くすぐったかった。

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