あなたの溺愛から逃れたい
『なあ逢子……はっきり言って』

『え?』

『俺のことが嫌いだって。異性としてなんか見れないって。
中学生のあの時より、もっとはっきり言って。逢子がそう言ってくれたら俺、今度こそお前のことちゃんと諦めるから……』


創太の口元は笑っていて、それなのに今日何度か見る悲しそうな表情の中で群を抜いていた。


……そんな言い方、ずるい。

嫌いな訳がないじゃない。
それどころか、創太は幼い頃からずっと私の支えだった。創太がいてくれなかったら、今の自分は存在しない。創太は私にとって、いてくれなきゃ困る存在。


……そうか、私。


『私、も……』

『逢子?』


彼が側にいることが当たり前過ぎて気が付かなかっただけなのかもしれない。


きっと私もずっと前から。


『創太のことが好き……』


私がそう答えると、創太は二重で大きな瞳を何度か瞬かせて


『本当に?』

と答える。


自分でもこの恋心には今気が付いたばかりで何の心の準備もしていなかったから恥ずかしさが満載だけれど『本当に』と言って頷いた。


すると。


『……夢みたいだ! すっごい嬉しい!』


そう答えた創太の笑顔は小学生の頃と変わらないもので、私の口元にも自然と笑みが零れた。


そして。


『……ねえ逢子』

『な、何?』

組み敷かれた状態のままだから、妙に緊張する。せめてこの状態からは解放してほしいんだけど、そんな私の心を知ってか知らずか、創太は。


『……このまま、シてもいい?』

なんて、とんでもないことを言ってきて。
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