あなたの溺愛から逃れたい

暖房や電気、そして清掃の確認をした後、お客様がいらっしゃるのを玄関付近で待機する。


ご予約いただいた際に頂戴した事前情報によると、これからいらっしゃるのは崎本様という三十代の男性。平日に一人で宿泊にいらっしゃるなんて珍しいお客様だな。
なんて考えていると、お客様がいらっしゃった。


「ようこそいらっしゃいました！」


明るく挨拶をしてから、ゆっくりと頭を下げる。


いらっしゃったのは、髪を明るく染め、黒のジャケットを着た細身の男性だった。