あなたの溺愛から逃れたい
あなたじゃない男性
崎本様をお部屋に通すと、彼は何も言わずに座布団に腰掛け、テレビの横に置いておいた新聞紙をテーブルに広げた。
私はすぐに熱いお茶を用意し、彼の前にそっと差し出す。
「どうぞ、冷めないうちに」
でも彼は新聞から顔を上げず「あぁ……」とボソッと答えるのみだった。
「三泊四日のご予定でしたね。お仕事はお休みですか?」
「休みっていうか、まぁ」
「観光先はお決まりですか?」
「適当に……」
「えと……」
どうしよう。会話を続けていいものか悩む。もしかしたら早く一人になりないのかもしれない。
こういうお客様には、無理に声を掛けたらいけない。
私はお茶の片付けをしながら、すぐに出て行こうと決めた。
すると。
「……あのさ」
小さな声で、でも確かに声を掛けられたので、私は「はいっ」と顔を上げた。
すると。
「近くに、お勧めの場所とかある? 景色がいい所とか」
そう聞かれた。
「この辺りは自然が多いですから、心落ち着く場所がたくさんありますよ。祭事等にも縁深い地域ですから、神社等にも足を運ばれてみてはいかがでしょうか。徒歩十五分位ですよ」
「そうなんだ。じゃあ行ってみるかな。神社ってどっち方面?」
「駅とは逆方面ですね。良ければ後でマップをお持ち致します」
よろしく、と答えてから、崎本様は視線を再び新聞紙に落とした。
そして。
「知らない場所に行くと、創作意欲が湧くんだ」
そう答えた。
私はすぐに熱いお茶を用意し、彼の前にそっと差し出す。
「どうぞ、冷めないうちに」
でも彼は新聞から顔を上げず「あぁ……」とボソッと答えるのみだった。
「三泊四日のご予定でしたね。お仕事はお休みですか?」
「休みっていうか、まぁ」
「観光先はお決まりですか?」
「適当に……」
「えと……」
どうしよう。会話を続けていいものか悩む。もしかしたら早く一人になりないのかもしれない。
こういうお客様には、無理に声を掛けたらいけない。
私はお茶の片付けをしながら、すぐに出て行こうと決めた。
すると。
「……あのさ」
小さな声で、でも確かに声を掛けられたので、私は「はいっ」と顔を上げた。
すると。
「近くに、お勧めの場所とかある? 景色がいい所とか」
そう聞かれた。
「この辺りは自然が多いですから、心落ち着く場所がたくさんありますよ。祭事等にも縁深い地域ですから、神社等にも足を運ばれてみてはいかがでしょうか。徒歩十五分位ですよ」
「そうなんだ。じゃあ行ってみるかな。神社ってどっち方面?」
「駅とは逆方面ですね。良ければ後でマップをお持ち致します」
よろしく、と答えてから、崎本様は視線を再び新聞紙に落とした。
そして。
「知らない場所に行くと、創作意欲が湧くんだ」
そう答えた。