あなたの溺愛から逃れたい
「見逃してくださるんですか⁉︎」

「逢子さんが岡崎先生の大ファンだということは、子供の頃から知っていますから」

他の人には内緒ですよ、と創太は人差し指を口元に当てながら優しくそう言ってくれた。


そんな創太に、私は。


「ありがとう!」

つい、満面の笑みを浮かべていたと思う。いや、それはいいんだけど、気持ちが高ぶっていたせいで、つい敬語を忘れてしまった。


「……ございます!」

明らかに付け足しになってしまったけれど、私はそう言うと、本を抱き締めるように胸に抱え、一旦部屋に戻っていった。









「……こんな気持ち、早く忘れたいんだから……そんな笑顔、見せるなよ」
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