あなたの溺愛から逃れたい
「うん。俺もそう思った」

私に合わせてくれたのか本当にそう思ったのか分からないけれど、私たちは手を繋ぎながら観覧車の列に並んだ。


ほとんど待たずに観覧車に乗れることになった。
私たちが乗ったのは、桃色の観覧車。
ゆっくりと動くそれに乗り込むと、私たちは向かい合って座った。



「今日楽しかったなー」

ぐーっと背伸びをしながら、創太が笑顔でそう言う。


「逢子に〝また付き合いたい〟って思ってもらわないといけないのに、普通に楽しんでしまった感も否めない」

「ふふ。私も凄く楽しかったよ」

それに、〝普通に楽しんでしまった〟なんてとんでもない。創太は、私が楽しめるようにずっと気を配ってくれていた。私が行きたい所に行ってくれて、私の買い物に付き合ってくれて。だけど私がそれを気にしないようにそう言ってくれてる。

創太のそういう優しいところが、本当に大好きだ。


観覧車がゆっくりとのぼっていく。

夕方だけど、ところどころライトアップがされていて、キラキラと輝いていて綺麗だ。


「綺麗だなぁ」と思ったことをそのまま呟けば、「逢子の方が綺麗だよ」なんて言われる。


「そんなこと思ってないくせに」

「思ってるよ。まあ逢子の場合は、綺麗というよりは可愛いって言葉の方が合ってるかもしれないけど」

「もういいよ。そういうこと言わないで」

恥ずかしくて、私はツンと唇を突き出して創太から顔を背け、窓の外を眺める。

本当は、嬉しかったけれど。
どうか、顔が赤いのがバレていませんように。
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