あなたの溺愛から逃れたい
創太は一瞬目を丸くさせて『クラスメイト』とだけ答えた。

創太にとってはただのクラスメイトなのかもしれない。
だけど、一緒に歩いていた女の子は頬を染めて、ぽーっとした表情で創太のことを見ていた。
私よりもずっと綺麗で、スタイルも良い女の子だった。
私よりも、創太の隣がよく似合っていた。
そんなことを考えていたら、胸が更にズキンズキンと痛んだ。
でも……その理由がよく分からなかった。

すると、そんな私に。


『もしかして妬いてる?』

なんて聞いてくる。
冗談で言ってるのは分かっていたから、私も冗談で返せば良かった。だけどそれが出来なくて。


『バ、バカじゃないの⁉︎』

と言ってしまった。


可愛くないな、私……と思っていると、不意に創太がその場で足を止める。

どうしたんだろうと思いながら、つられるようにして私も立ち止まる。

首を傾げ、私より身長の高い彼のことを見上げると。



『俺が付き合いたいのは、逢子だけだよ』


……え?

聞き間違いかなと思った。だって、兄妹みたいに育った相手からそんなこと言われる訳ないし……。

そうじゃなくても、創太みたいに凄い人が私に告白なんてする訳ない。


だから何も答えずに、ただ黙って彼を見つめていた。すると。


『俺は逢子が好きだよ』


……どうやら聞き間違いではなかったみたい。

だけど私はその言葉を信じることが出来ずに、

『何言ってるの?』

そう言って、彼の言葉を流してしまった。
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