あなたの溺愛から逃れたい
目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいて、ああ、いつも通りの朝が来たんだなってことが分かる。

携帯の画面を開くと五時二十九分で、その表示が三十分に変わったのと同時に、アラームが鳴る。そして、すぐに止める。


本当、いつも通りの朝だ。



ただいつもと違うのは、昨日逢子にはっきりとフラれて、あんまり眠れなかったから頭がボーッとしていること。



あ、今日は経営報告の書類を持って父さんの所へ行かないといけないんだった。めんどくさい……。



俺はいつもの着物ではなく、スーツに身を包むと、必要な荷物だけを持って旅館を出た。
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