あなたの溺愛から逃れたい
すぐに逢子に電話しようとした。
でも、逢子はそれを予想して、母さんに携帯を渡していったらしい。
さすがに冗談だと思ったけど、母さんがどこからかすっと出してきたのは、間違いなく逢子の携帯電話だった。
俺の知らない場所で、住む家も、一緒に住む相手も、電話番号さえ変えて、新しい人生を送ろうとしてるってことか?
携帯を捨ててまで、俺とはもうかかわれないってことか?
……逢子が、最後の最後まで俺のことを想ってくれてたというのは、自惚れなんかじゃなくて確かな自覚がある。
だからこその行動なのかもしれない。
だけど、これじゃあ俺の何もかもを拒絶されたのと変わらない。
逢子。戻ってこいよ。
お前が望むなら、もう二度と好きだなんて言わないから。愛してる気持ちを表に出さないから。
だから、
だから。
大好きだから、いなくなるなよーー。