あなたの溺愛から逃れたい
他の従業員たちにも、私と創太のことを伝えた。
実は恋人同士であったこと、そして、近々結婚を考えていることーー。
驚いている人が殆どだったけれど、長い付き合いの人たちの中には『そんな気はしてた』と言う人もいて、自分たちが思うほど隠し切れてなかったのかな、と思った。
とはいえ。
本当はすぐにでも入籍したり、結婚生活の準備をしたい。
でも、これから年末年始に向けてぐっと忙しくなる。正直、旦那様も女将も、他の従業員たちも、そして私と創太も、入籍どころではない。
その為、入籍や結婚生活の準備は、来年に入って落ち着いてから行うことになった。
「逢子。見てこれ」
そう言って、創太が私に何かの雑誌のページを広げ、楽しそうに私にみせてくる。
今日もいつも通り仕事を終え、お風呂上がりに私は創太の部屋にお邪魔していた。
相変わらずの、洋風な部屋。
同じくお風呂上がりの創太は、彼のお気に入りだと言う、胸元にパンダのワンポイントがついたパジャマを着ている。このパジャマ姿の彼を見るたび、可愛いなぁって思う。
「何?」と、彼の手元を覗き込むと。
「これ、逢子に似合いそう」
そのページには、ウェディングドレス姿のモデルさんの姿が。
何で創太が読むような雑誌にウェディング特集なんて載ってるんだろう、と思ったけど、その雑誌をよく見ると、そもそもそれ自体が結婚雑誌だったので驚いた。