好きやねん(押さえられへん思い)


不安なるやんけ。


ふてくされてる兎みたいに真っ赤な瞳で睨んで


「ぅうん」




泣いた跡の湿ったハンカチをあいつは、掴んで俺に返してん。



テーブルに置かずに手渡しで渡すから俺は、慌て受け取ってん。


あいつのちょっとした行動が可愛いなぁっと思ってるねん。


受け取りながら俺は、可愛いと思ってなのか。


優しい口調になりながらあいつに


「もう、ええんか」



ってハンカチを受け取って、ポケットにしまおうとする時にあいつのダイヤの瞳を見つめてん。



ダイヤの輝きを赤く染めた瞳を俺は、真っ直ぐ目を離さず見つめて


軽く膨れた頬にしてあいつは、目を逸らそうとするねん。


もう、




俺、悪いことをしたか?




何故、逸らすねん。



泣きそうなのか。



意地を張ってるのか。




見つめてたあいつの瞳が見えなくて不安。



何でも教えてくれ。




教えてくれへんのか。




教えられないのか。





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