好きやねん(押さえられへん思い)


「直美、笑ったり信じひんかったりせぇへんか。
もし、するんやったり言われへんねん」

恐る恐るあいつを見たら背後から、おかんの顔が見えるねん。

「永遠、何してるの。
ちゃんと電話したの」

おかんがあいつの背後で喋るからあいつ、目玉を動かしながらゆっくり首を動かしとるやん。

何でおかん来るんや。

いらんこと言うなやと思うてんけど、あいつは、『ふぅん』って表情を浮かべとる。

愛想良くしながらあいつは、

「おばちゃん、お久しぶりでぇす。
永遠に意地悪されちゃったの」

嘘をつくなぁ、尋問されて意地悪されてるんは、俺やんけ。

「直美ちゃん、お久しぶりね。
今まで入院して永遠を家でゆっくりさせたいから叉ね」


言いたく無さそうなおかん。


触れたらあかんと思ったんかも。

すたすたとおかんは、歩いていくねん。

「行くわよ」

おかんの声が聞こえるねん。
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