好きやねん(押さえられへん思い)


バシバシと頬を叩く音が響いとるし、チラッとタクシーのおっさんは、俺を見よる。


アホらしい気にしてられへん。

喋りたそうにしとるムズムズして、俺をジッと見とるおかん。

タクシーの中は、沈黙が流れたんがどれぐらいか分からへん。

長くて短い時が流れて車が徐々にスピードが落ちて止まってん。


「関西警察署に着きました」

低音のおっさんのがらがら声で、おかんは、素早くお金を出してん。

呆然としとる俺は、降りるのを忘れてるみたいになぁ。

気がついたらおかんは、降りとってん。




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