好きやねん(押さえられへん思い)
あいつの『アホ』って言い方が好きやねん。
あいつが俺だけの特別に感じるからなぁ。
俺は、マゾじゃねぇがあいつが俺以外に『アホ』って言わへん。
俺は、あいつに好きやって言えてへんが、否定した言葉が本音なような気がする。
ぱたぱたっと階段を降りてん。
「夜分遅くまでお邪魔しました」
リビングに向かって挨拶しながら、玄関に置いとる俺の靴を履いてん。
「永遠君、来てたの。
こんな、遅くまで何してたの」
ぽちゃぽちゃした体型のあいつ似て小さな瞳のおばちゃん。
「あ、直美に呼ばれて話しって言うんか怒られに来てん。
今、何時なん。
ほんまに遅くまでお邪魔しました」
軽く頭を下げてん。
「え、時間も知らないの。
今、10時過ぎよ。
直美が永遠君を呼び出して永遠君、学校の帰りでは」
制服姿の俺の服装を見てやと思うねん。
「あ、俺、制服のまま寝ててん。
数分前に電話がかかってきて呼ばれて来てん」
俺は、言った後、軽くお辞儀をしてあいつ家を去ってん。