ゆめふわ
病室の前に来ると、柊がドアを引いて開けてくれた。
家族や親戚たちが、ベットを囲んで、笑顔で話をしている。
いつもおばあちゃんは会話の中心にいた。
孫のあたし達のことをすごく可愛がってくれて。
いつも綺麗なお着物を召して…
スッと涙が、頬を流れていく。
「ゆきちゃん。遠いところから、よく来てくれたわね。」
おばさんが、席をたって 、手を引いてくれた。
そのまま、ベットの横に連れていかれる。
おばさんはおばあちゃんの手を取って、あたしの手と重ね合わせた。
「挨拶してあげて。おばあちゃんはね、ゆきちゃんのことずっと待ってたのよ。」
手を握った瞬間、また涙が溢れてくる。
こんな手じゃなかった。
最後に会ったのは5年前だけど、ちゃんと覚えてる。
「おばあちゃん…ただいま…雪だよ…」
「おばあちゃん、ゆきちゃんが到着しましたよ。これでみんな揃った。よかったわ。みんなに会いたいって言ってたものね。」
もっと遅くに家を出ようとしているばに行けば、生きてる時に会えたのだろうか。
どうして、もっと早くに会いに来れなかったの?
どうして…
「どうして、おばあちゃん…急に…」
「ごめんなさいね。雪ちゃんたちには秘密にしておいて欲しいって言われたのよ。本当は、おばあちゃんはね…」
おばあちゃんは、3年前、突然倒れて入院。
それ知らなかったには、あたしと弟妹だけ。
「数ヶ月前から、覚悟しといてって言われてたの。」
突然だった。
おばあちゃんの死は。
人はいつか死ぬものだと知っている。
子供の時、入院して。
そこで仲良くなった友だちが亡くなった時。
初めて死を知った。
担任の先生が亡くなって、最後の授業はお葬式になってしまった。
死には、たくさん出会ってきたはずだ。
友だちも先生も、ひいおばあちゃんも。
それなのに、今回はかなり気持ちが沈んだ。