【短編】不機嫌な最下くん
最下くん
「最下くーん!おはよっ!見たよー!今月のberrys!」
「あぁー!私も見たー!ほんっと可愛かった!」
「もう専属モデルになっちゃえば?」
朝のHRが始まる前の教室。
教室のドアの前に現れた1人の男の子を、女の子数人が取り囲んでいた。
ふわふわの栗色の髪と、白い肌。
そして男の子にして少し小柄な身長。
「いや…幾ら何でも女の子が読むファッション雑誌のモデルは無理だよ〜」
数人の女の子たちの間から少し見えた、彼のはにかんだ笑顔。
その笑顔を振りまいた途端、周りの女の子、いや男の子でさえも顔を緩めた。
もちろん私も。
彼の名前は、最下 佑人(もか ゆうと)くん。
誰もが認めるクラスの癒し系王子の男の子だ。
そんな最下くん、最近はよくティーンズの人気雑誌によく読者モデルとして掲載されることも多いのだ。
あぁ、本当にかわいい。
自分の席に向かって歩いてくる最下くんを見て心の中でつぶやく。
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