その男
その男
先日の日曜日、いきなり田舎の母がやって来た。
「あれまー、相変わらずだらしないねー」
どうせ今日も雨なのだ。
まだまだ休みの日の午後を布団の中で貪りたいのに母は圧倒的な破壊力をもってそれをぶち壊した。
「空気が淀んどうわ」
ピシャリと窓を開けると雨音が大きくなる。
「雨が入ってくるやろ」
無駄な抗議をしてみる。
「ちょっとぐらい空気の入れ替えせんと病気になるやろ」
そう言うと母はぼくの布団を勢いよく剥ぎ取った。
「あれー、またそんな格好で」
人の寝込みを襲っておいてその言い方は酷い。
トランクス一枚のぼくは枯葉の下に隠れていた虫のようにこそこそ体を丸くした。