その男
それから三年、芽以は二次元の妄想世界が生き甲斐の立派な腐女子に成長した。
高校生にもなると彼氏のいるクラスメイトの女子もたくさんいたが、芽以の属する腐女子グループと彼氏のいるようなリア充グループは交わることはなかった。
芽以はリア充女子たちを少しも羨ましいと思わなかったし、クラスの男女のカップルのあれこれなど、想像するだけで、おえっとなった。
二次元の男同士の恋愛こそが芽以の理想だった。
その妄想生活に青天の霹靂のような事件が起こってはや半年。
芽以の世界の神は“あの人”になった。
芽以の漫画コレクションの中でもひと際お気に入りの主人公が目の前に現れたのだ。