その男
女その三人とその男
「今日はカフェでお茶しない?」
土曜のいつものヨガクラスの後、そう提案したのは陽子だった。
「さんせい、さんせい」
芽以は声を上げ、何も言わない美穂はそれが承知を意味する。
通りを挟んだスポーツクラブの目の前にあるカフェは外国のように道端に白く丸いテーブルを並べていた。
梅雨の晴れ間の今日、新緑がちょうどよい木陰を作る場所を三人は陣取った。
ヨガクラスの感想を一通り述べ本題に入る。
週に一度の報告会。
なんとなく年功序列で陽子が一番だ。
「わたしは別にこれといってバーテンダーとは何も進展はないわ」
あの日、陽子の頬を伝う涙に気づかないふりをする賢一の横顔を思い出す。
「でも彼はほんとうにいい男よ」
「そんな安いホストみたいな男がですか?」
美穂がアイスラテの氷を噛み砕きながら言った。