その男
芽以の膝の上に置いた握りこぶしが震える。
キモイキモイキモイキモイキモイ
リア充グループ女子たちは芽以たちのグループをいつもキモがる。
「陽子さんも美穂さんもみんなと同じ」
だから現実は嫌い。
芽以は勢いよく立ち上がった。
反動で椅子が後ろへ倒れる。
「わたしはなんにも悪いことしてないのに、誰にも迷惑かけてないのに、なんでそんなこと言うの?」
狼狽える陽子と美穂に背中を向け芽以は駆け出した。
慌てて二人も芽以を追いかける。
「芽以ちゃん!」
「ごめん待って」
陽子と美穂が交互に声をかけるが芽以はずんずん人ごみをかき分け進んで行く。