強引専務の身代わりフィアンセ
「この近くにキャンプ場があって、子どもの頃はよく連れてきてもらってたんだ。そのときここで遊んでたら、不思議な模様がある石を見つけて」
「一樹さんも外で遊ぶ男の子だったんですね」
「基本的に子どもの頃は、中でいるより外で過ごす方が好きだったけどな」
ちょっと意外。今の専務のイメージからすると、部屋で読書をしたり、勉強したりする方が似合うのに。
でも、そっか。専務もこんなところで遊んだりする普通の子どもだったんだ。私は目を細めて、専務の話の続きを聞いた。彼の顔はどこか懐かしそうだ。
「親に見せたら、これはすごいぞって瑪瑙のことを教えてもらって。それから天然石や鉱山に興味を持つようになって、博物館に見に行ったり、図鑑を買ってもらったりしたんだ」
「じゃぁ、ここでの発見がIm.Merに繋がってるんですね」
「……そういうことだな」
断定的に告げた私に専務は一瞬だけ目を見張ったが、すぐに柔らかい表情になった。つられて私も微笑む。
MILDの洗練された高級なイメージとはまた違う、対照的なデザインや天然石を組み合わせたIm.Merのアクセサリーは、ただ奇抜性を狙っただけじゃない。
そこにはちゃんと、専務の想いが込められていたんだ。それを知ることができて、純粋に嬉しい。せっかくなので、私も試しにしゃがんでみて、足元にある石をいくつか手に取ってみた。
「私でも瑪瑙を見つけられますか?」
「どうだろうな、そう簡単には見つからないだろ」
その言葉通り、拾った石たちはごつごつしてなんの変哲もない見慣れたものだった。でも残念がることはない。これが普通なんだ。私はそっと石を下に落とした。
「一樹さんも外で遊ぶ男の子だったんですね」
「基本的に子どもの頃は、中でいるより外で過ごす方が好きだったけどな」
ちょっと意外。今の専務のイメージからすると、部屋で読書をしたり、勉強したりする方が似合うのに。
でも、そっか。専務もこんなところで遊んだりする普通の子どもだったんだ。私は目を細めて、専務の話の続きを聞いた。彼の顔はどこか懐かしそうだ。
「親に見せたら、これはすごいぞって瑪瑙のことを教えてもらって。それから天然石や鉱山に興味を持つようになって、博物館に見に行ったり、図鑑を買ってもらったりしたんだ」
「じゃぁ、ここでの発見がIm.Merに繋がってるんですね」
「……そういうことだな」
断定的に告げた私に専務は一瞬だけ目を見張ったが、すぐに柔らかい表情になった。つられて私も微笑む。
MILDの洗練された高級なイメージとはまた違う、対照的なデザインや天然石を組み合わせたIm.Merのアクセサリーは、ただ奇抜性を狙っただけじゃない。
そこにはちゃんと、専務の想いが込められていたんだ。それを知ることができて、純粋に嬉しい。せっかくなので、私も試しにしゃがんでみて、足元にある石をいくつか手に取ってみた。
「私でも瑪瑙を見つけられますか?」
「どうだろうな、そう簡単には見つからないだろ」
その言葉通り、拾った石たちはごつごつしてなんの変哲もない見慣れたものだった。でも残念がることはない。これが普通なんだ。私はそっと石を下に落とした。