王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
ここでバレてしまったら、大変なことになる。
ええと、とにかく納得するような返答を……!

「だ、だってお父様よく考えて?私は貴族っていっても男爵令嬢だし、王太子様と身分が違いすぎるじゃない?話どころか、近くに寄ることすらできるわけないでしょう」

「だからそのぐらいはわきまえているわ」、と話を続ける。

父は私の言葉にううむ、と唸って視線を横にずらすと、顎に手を掛けた。
言葉は発さないものの、妙に納得しているようだった。

「まあお前もそこまで馬鹿ではないか。さすがに身をわきまえているか」

馬鹿、という言葉が突き刺さる。

ああ、その馬鹿なことを仕出かしてしまったのよ私は!
お父様、本当にごめんなさい!!

と心の中で懺悔するが、バレてはいけないと一生懸命繕った。

「あ、当たり前じゃないの!……それよりもこの集まり、不参加にはできないのかしら」

「国からの申し出であるからそれは無理だな。よほどのことがない限り、不参加にはできん」

「そう……よね」

やっぱり無理か。
逃げるという選択はできないか。

「承知しました、お父様。三日後ですね」

「ああ。そなたには関係ないこととは思うが……、よろしく頼む。くれぐれも失礼のないように」

父は念を押して言うと、部屋から出ていった。
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