王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
私にそんな高度な演技ができるのだろうか。
怖い。身体が竦んでしまう。
けど、逃げも隠れもできないのだから、できるだけの悪あがきをしなきゃいけない。
やるしかないのだわ。
ここさえ乗り切れたら、また穏やかな生活が待っているのだから。
「……分かったわ。やります。お願いね、アマンダ」
「かしこまりました、ビアンカ様。やれるだけのことをやりましょう。そしてまた、いつもの生活を」
「――ええ」
ゴクリと息を呑む。
そう。いつもの生活に戻るため。
絶対に見つかってはいけない。
たった一夜の過ち。
でも、もうなにも心配する必要はないのだから。
今までの生活をこれからも続けるために、私はなんとしてでも逃げ切ってみせる……!