王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
「ウエストの細さでも違いを見せなくては。今日ばかりは我慢下さいませ」
苦しい。息をするのもやっとだ。
しかし、王太子様にバレることを考えれば、これしきのこと苦でもない。
再度、鏡に全身を映す。
胸元が少し開き華やかではあるが、全体的に見ると落ち着いたドレスで、だいぶ大人っぽく見える。
これは、私じゃない。
どこかの少し高飛車な令嬢。
自然と自信が満ち溢れて来るから不思議だ。
「そろそろ時間です。行きましょう、ビアンカ様」
気がつけば、もう出発の時間となっていた。
よしっ!と気合を入れ、部屋を出る。
胸を張り、堂々と。
怖気づいては駄目よ、ビアンカ!
エントランスには父と母が立っていた。
父は私の姿を見るなり、驚きの表情を見せる。
「お、お前なんだその姿は!」
「あら、お父様お母様。この姿?だって国中の女性が集まるのでしょう?みすぼらしい格好は恥ずかしいと思いまして」
「だからってそれは……。派手過ぎないか?」
「あら、いいじゃないの。いつも地味だと思ってましたの。よく似合っているわ、ビアンカ」