王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
さすが国中の貴族の娘に召集を掛けただけある。
城の入り口から煌びやかなドレス姿の女性が、溢れんばかりにたむろしていた。
アマンダの言うとおり、普段よりも派手に着飾り、それぞれ気合が入っているように見える。
まあ確かに、あれだけの美しいお方。
ましてや王太子様は今年二十四歳で、そろそろ結婚相手を探してもいい頃での今回の召集。
王太子様と結婚したならば、将来はこの国の王妃となる。
本人どころか、その家までもが将来安泰な暮らしとなるだろう。
そりゃあ、誰だって少しは期待するかもしれない。
……私以外は。
その人ごみに混じり、城の中へと入る。
女性たちは城の中で一番の広さを誇る、大広間へと通された。
しかし人数が人数なだけに、その大広間でも女性たちが全て入り終わると、そう簡単に身動きもできないくらい狭くなる。
私がいる位置は、運よく後ろのほう。
すんなりと見つかることはないだろう。
全員大広間へと入ったところで、城の騎士がラッパを吹く。
その音に、ざわざわとしていた会場内が、一気にしん、と静まり返った。
「これよりファリス・リューイ・ヴィルヘルム王太子様のご壇上となる!みな、静粛に出迎えるように!」