王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
やがて腰に回されていた手が、ふくらみの部分へと触れようとしていた。
その瞬間、最後の力というべきか、自分の理性がハッと目覚めた。
……ダメ!
これ以上はダメ!
「お、お止めください!!ファリス様!!」
その叫びに、王太子様の動きが止まり、そしてゆっくりと身体から温もりが離れていく。
解放されたのだと感じ、私は力が抜けてそのままへたり込んでしまった。
助かった、という思い。
そしてなぜか、その後にほんの少しだけ寂しさを感じてしまったのには、自分でも驚くが。
しかしこの王太子様、思った以上に策略家だ。
確かにこの国の時期国王となる人間なだけはあるわ。
生半可な考えでは、到底及ばない。
「そうです。ちゃんと呼べるではないですか、ビアンカ」
「……卑怯ですわ。あんなことされたら、呼ぶしかないではありませんか」
「ククッ、それも私の策のひとつです。どちらに転んでも、私には利しかありませんから」