王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
いまさらになって、自分の行動に悔やむ。
豪華な料理をタダで食べられることに目がくらんで、まさかこんな結果になってしまうとは。
タダより恐ろしいものはない、とはこのことを言うのかしら。
……でも、美味しかったんだもの。
それから私がファリス様の求婚を断る理由のひとつである、身分の違いについてだが、ファリス様曰く、身分は関係ないのだという。
それもそのはず、現王妃様のフィオナ妃は、私よりは身分は高いものの、伯爵家の娘だった。
だからなのか、ファリス様の結婚相手が私であることも、国王様は特別問題視されていないらしい。
それどころか、ファリス様が心から愛せる相手を見つけたことに、たいそう喜んでいるのだとか。
知らなかった。
王妃様が伯爵家の出だったなんて。
国王様とはどうやって出会ったのかしら。
私からしたら、伯爵家は素晴らしい家柄だけれど、でも王族の者と気軽に話ができるような身分ではない。
王族の人間から話しかけなければ、接点など持てないはず。
国王様の一目惚れ?
それとも、王妃様が身分を隠して近づいた?
いずれにせよ、国王様と王妃様の件があって、私が危惧することは、実際それほど問題ではないらしい。
いいのか悪いのか分からない。
これは、……喜ぶべきものだろうか。